■甲州市 観光振興ミニシンポジウム
平成19年9月7日
かつぬま文化研究所 中村氏メモ
○新しい観光の潮流 フットパスを生かしたまちづくりと題した講演会とミニシンポジウムが7日夜、勝沼で開催された。
○講演会の講師はJTBパブリッシング「大人の遠足」編集長 益子由紀子さん。シンポジウムのパネラーは益子さん、NPO法人みどりのゆび代表 神谷由紀子さん、勝沼朝市会代表 高安一さん、コーディネーターにラック計画研究所の屋代雅充さんの面々である。
○益子さんは、編集長といってもまだお若い。現職の前は、あの「るるぶ」の編集に携わっていたのだ。事例として高尾界隈や川越の事例の紹介や勝沼への提言をいただいた。


益子さん講演
○最近人気が出ている高尾山のハイキングについて話したい。高尾山周辺には年間250万人が訪れている。フランスのガイドブック、ミシュランの日本紹介欄にも高尾山が紹介されている。レストランで言えば三ツ星の観光地といえる。それは大都市近郊の自然が評価されているのだと思う。
○高尾山は都心からのアクセスがよく、新宿から1時間で来ることができる。夏はビアガーデンも開店しており、会社を4時に上がれば納涼会もOKだ。交通費も安くお金を掛けないで済む。ここを訪れる層は、中高年からOL、親子連れのファミリーと幅広い。
○6月に訪問したときは、9時には多くの人でにぎわっていた。自然研究所もここに設置されている。30分から1時間のコースもあり、初級から上級にいたるまで満足できるコースが準備されており、バリエーションも豊富である。
○高尾山薬王院に参拝するだけの人もいるし、高尾山のハイカーもおり、多種多様な楽しみ方ができる。シーズンに何回も訪れる人もいる。道端に咲いている花を見つけ、「これは○○という花ですよ」、などと、見知らぬ同士で話したり、情報交換している。女性一人でも安心して歩くことができる。
○高尾をよく知っている人の説明があると、楽しみが広がる。杉の上に咲く花セッコクについても説明してもらった。よく知っている人と歩くと新しい発見があり楽しい。人それぞれのペースで歩くことがいい。速度もゆっくり歩くと体力的にも楽であり、歩くことが楽しいと感じる。
○ガイドツアーもあり参加できる。鳥の鳴き声、木の葉を手紙のように折りたたんでいくことを見たり、木や木の実についても説明してくれる。五感で感じる楽しさ、音を聞いたり、匂いをかいだり、流れる空気さえも変わっていくことがわかる。
○参加することで共感を得ることもできる。会社では普段怖い上司も、自然に詳しい部下から説明を受けたりすると「なるほど、そうなんだ」と子供のように素直になる。教えてもらったり発見することで、素直になれるのかもしれない。
○ひと歩きした後のビールやジュースなども楽しみであるが、コース最後にはお店に準備されている。「最後のお楽しみ」はうれしい。
○土産を買う楽しみもある。トロロそばが名物であるが、それを楽しみに来る人たちも多い。広い年齢層がそれぞれに楽しめるというのが魅力であり、人が集まる秘訣であろう。
○歩くスタイルであるから、お店も決してオシャレなものではなく、歩くスタイルで気軽に入れる店の造りとなっている。歩くスタイルで気軽に入れるのはそば屋であるから、そうしたお店が多い。よくできていると思う。そうした楽しみが最後にあるのが仕掛けである。
○男女では楽しみ方が違う。男性は、自分が旅行をプランニングするため勉強して、ほかの参加者に教えてくれる。連れて行くという意識がある。一方、女性は行って楽しむことを重視している。旅先での食事やお土産が魅力でなく、それがないといけない。プラスαが必要だ。
○川越市では、まち歩きイベントとして「七福神巡り」を行っている。元旦から7日まではコースを設定し、スタンプラリーを開催しているが人気がある。今では、ポケモンのスタンプラリーというようなイベントもあり、楽しい試みにチャレンジしている。
○これにはゲーム性があり、参加意識や達成感があることが必要であり、自分か参加して楽しいと思うことが重要だ。
○川越には500万人の観光客が訪れる。蔵づくりの街並み、小江戸川越がキャッチフレーズである。若いカップルも増えている。お土産は決して高いものでなくていい。300円から500円の買い食い感覚で楽しめるものがあると歩いて楽しいと感じる要素となる。
○歩く楽しみの究極は「お遍路さん」だ。四国巡礼の楽しみは何か。わかりにくい道筋も地元の人が教えてくれる。そうした、ちょっとした親切、ふれあいが楽しい。
○納め札にも工夫がある。1回から4回が白、5〜7回が青 8〜24回が赤、 25〜49回が銀、 50〜99回が金、100回以上が錦となっている。錦があった場合は、縁起がいいので、もって行ってもというルールがあるが、もしかすると錦があるかもしれない、というのも楽しみである。そういう仕掛けがあると感じている。中高年になり、「いつかは四国へ」というのが究極の楽しみではないかと思う。
○ウォーキングの楽しみは人それぞれであると思うが、小金井公園を基点として開催される東京国際スリーデーマーチは、2キロ、5キロ、10キロ、20キロ、40キロのコースが設定されており、世界から5万人の参加者を数える。
○小金井公園には、屋台なども並びイベントの楽しみもある。公認コースとして、パスポートに完歩証明スタンプを押すこともでき、スタンプで歩いた思い出も楽しみのひとつになると思う。
○歩くことの目的は、健康づくりや四季を感じることや自然を楽しむ、地域を発見する喜びであろう。自分自身が歩いて楽しいと感じることができる。
○距離的には5〜6キロが最適だと思う。知らない街をちょっとした寄り道感覚で散策できれば楽しいだろう。
○勝沼では、どの年齢層、客層をターゲットとするのか絞り込む必要も感じる。また、地元の人が楽しめないと人は呼べない。どういう人が歩くのか人を限定することも必要だ。休憩ポイントもあったほうがいいだろう。
○勝沼はぶどうとワインのイメージが強い。無料の休憩スポットを設定し、500円くらいでワインやチーズが味わえる、ぶどうを使ったソフトクリームがあってもおもしろい。ここでしか味わえないものを楽しめるといい。そして楽しかった思い出を話すことができれば口コミにもなる。
○青梅の澤乃井酒造では100円のカップ酒を自動販売機で売っているが、立ち飲み感覚で、ちょっと乾杯の仕掛けがあるとおもしろい。
○すべての層にターゲットを置き、幅を広くすると分散する。まず、どの層を取り込むのか、その層を基準に、いろいろなことを想像して考えることができる。
○魅力があれば、リピーターとして、またここに来るが、まずは呼び込む動機、ここに来るきっかけが必要だ。何をアピールしたいのか、テーマがはっきりしていると対応しやすい。ポスターもテーマがはっきりしていれば、それを見て行ってみたい、というきっかけになると思う。何をキーワードとして呼び込めるか、考えていけばいいと思う。

inserted by FC2 system